こんにちはNAGIです。
今回は、第69回診療放射線技師国家試験のMRIの解説をしてきたいと思います。今回は午前と午後まとめてしたいと思います。
- 解説
- 午前11 7T の MRI における水素原子核の共鳴周波数(MHz)に最も近いのはどれか。ただし、1.5 T での水素原子核の共鳴周波数を 64 MHz とする。
- 午前15 MRI の SAR で正しいのはどれか。
- 午前17 blood oxygenation level dependent (BOLD)法による脳のファンクショナル MRIで正しいのはどれか。2つ選べ。
- 午後11 MRI において SN 比が上昇するのはどれか。
- 午後12 MRI における傾斜磁場について正しいのはどれか。
- 午後14 JIS で定められた不変性試験項目のうち、X 線 CT 装置と磁気共鳴画像診断装置の両方で行うのはどれか。2つ選べ。
- 午後15 MRI の高速スピンエコー法で正しいのはどれか。
- 午後16 生体内の代謝情報を取得できるのはどれか。
- 午後18 脳の MRI で正しいのはどれか。
解説
午前11 7T の MRI における水素原子核の共鳴周波数(MHz)に最も近いのはどれか。ただし、1.5 T での水素原子核の共鳴周波数を 64 MHz とする。
1. 43
2. 64
3.128
4.256
5.299
これも公式を覚えていたら簡単に解ける。
ラーモアの方程式
ω0=γB0
ω0:ラーモア周波数(Hz)
γ:磁気回転比(MHz・T-1)
B0:磁場の強さ(T)
問題文から公式に当てはめると
ω0=64・7/1.5=299(MHz)となる。
ここでは問題文に条件を提示してくれているのでそれを活用したら良い。
1Tが42.6MHzを覚えておけば42.6×7=298.2(MHz)なので答えは導き出せる。
午前15 MRI の SAR で正しいのはどれか。
1.被写体が大きいほど低下する。
2.フリップ角が小さい方が増加する。
3.1.5 T よりも3T の MRI 装置の方が増加する。
4.同じスライス枚数のとき、TR が短いほど低下する。
5.スピンエコー法よりも高速スピンエコー法の方が低下する。
均一な球体組織の平均SARの公式
SAR∝σr2B02α2D
∝:比例という意味
σ:電気伝導率
r:半径
B0:静磁場強度
α:フリップ角
D:デューティーサイクル
デューティーサイクルはスライス厚やTRにも関係します。SARの問題はSARの単位(W/kg)。TRが短くなるとRFパルスの間隔が短くなるので、SARは大きくなる。
- 被写体が大きいほど大きくなる。
- 公式からフリップ角は大きいほど増加する。
- 正しい。公式より静磁場強度の2乗に比例する。
- TRは短いと大きくなる。
- 高速スピンエコーの方がRFパルスをかける時間が短いので、SARは増加する。
午前17 blood oxygenation level dependent (BOLD)法による脳のファンクショナル MRIで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.脳組織の硬度を計測できる。
2.撮影データの統計学的解析が必要である。
3.磁化率効果を低減する撮影法が用いられる。
4.脳局所の水分子拡散を観察することができる。
5.脳局所のデオキシヘモグロビン濃度が信号強度に影響する。
- BOLD法で硬度は計測できない。血流の状態を観察する。
- 正しい。
- 磁化率効果を低減したら撮影できない。基本的にシーケンスはEPI法で撮影する。
- おそらく拡散強調像のこと。
- 正しい。濃度の変化で解析、画像化を行う。
午後11 MRI において SN 比が上昇するのはどれか。
1.TR を短くする。
2.TE を長くする。
3.加算回数を増やす。
4.スライスを薄くする。
5.パラレルイメージングを併用する。
SN比はいろんなパラメータで変化する。TE、受信バンド幅、マトリクス数は小さくしたら向上し、あとは、大きくしたら向上するって覚えておけばよい。
- TRは長くすると、SN比が向上する。
- TEは短くすると、SN比が向上する。
- 正しい。
- スライス厚は厚くすると、SN比が向上する。
- パラレルイメージングは撮像時間が短くなるが、SN比は低下する。
午後12 MRI における傾斜磁場について正しいのはどれか。
1.スリューレートの単位は T・m–1 である。
2.最大傾斜磁場の単位は T・m–1・s–1 である。
3.傾斜磁場コイルは RF コイルと兼用することができる。
4.傾斜磁場コイルは静磁場コイルの外側に配置されている。
5.傾斜磁場コイルは x、y、z のそれぞれの方向に必要である。
- スリューレートの単位はT・m⁻¹・s⁻¹。
- 最大傾斜磁場の単位はT・m–¹。
- 傾斜磁場コイルはRFコイルと兼用はできない。
- 静磁場コイルのすぐ内側に傾斜磁場コイルがある。
- 正しい。
この問題は正解の文だけ覚えていれば良いが、それだけだと不足してしまう可能性がある。この選択肢はすべて理解しておいた方が良い。
午後14 JIS で定められた不変性試験項目のうち、X 線 CT 装置と磁気共鳴画像診断装置の両方で行うのはどれか。2つ選べ。
1.スライス厚
2.空間分解能
3.信号ノイズ比
4.幾何学的ひずみ
5.患者位置決め精度
MRI不変性試験の覚え方は澄んだ空気が好きだで覚えました。
澄ん→SN比
空→空間分解能
気→幾何学的ひずみ
好→スライス厚
き→均一性
CTは内容によって期間が違うので期間ごとで覚えた方がいいです。
1か月 のうきんしす
ノイズ、均一性、平均CT値、スライス厚
半年
CTDI
3か月
空間分解能、患者位置決め精度、天板支持位置決め
1か月を覚えて、線量測定は半年、それ以外と覚えればいいと思う。
午後15 MRI の高速スピンエコー法で正しいのはどれか。
1.エコートレイン数を大きくすると MT 効果は減る。
2.エコートレイン数よりも再収束パルス数は多くなる。
3.エコートレイン数を大きくすると撮影時間が短くなる。
4.エコートレイン数を大きくするとブラーリングは減る。
5.エコートレイン数と周波数エンコード数は同数である。
- ETLを大きくするとMT効果は大きくなる。
- ETLと再収束パルスは同数になる。
- 正しい。撮像時間の公式を覚えていれば解ける。
- ETLを大きくするとブラーリングは大きくなる。
- ETLと周波数エンコード数は全くの別物。
午後16 生体内の代謝情報を取得できるのはどれか。
1.MRA
2.FLAIR 像
3.拡散強調像
4.MR hydrography
5.MR スペクトロスコピー
難しそうな問題だが、用語を知っていれば解ける。
4. MR hydrographyはMRCPなどのヘビーT2を使った撮像法。
5. MR スペクトロスコピーは生体内の代謝情報を取得できる。腫瘍などの判別に使用したりする。
午後18 脳の MRI で正しいのはどれか。
1.拡散強調像では脳脊髄液が高信号になる。
2.横断像を得るための基準線は耳垂直線である。
3.T2 強調像で灰白質は白質よりも高信号となる。
4.MR cisternography ではガドリニウム造影剤を使用する。
5.微小な脳梗塞を描出するために dynamic MRI を施行する。
- 拡散強調像では脳脊髄液は描出されない。
- 横断像はAC-PCラインが基準とすることが多い。
- 正しい。
- MR cisternographyはMR脳槽撮影。脳槽内の神経や血管を描出する。造影剤は使用しない。
微小な脳梗塞の描出は拡散強調像を施行する。
まとめ
今回は第69回診療放射線技師国家試験MRIの解説をしました。不明な点などあれば気軽にコメントしてください。今回はこの辺で終わりたいと思います。それでは!!
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