こんにちはNAGIです。
今回から国家試験のCTの問題の解説もしていきたいと思います。CTは基本1年分ごとに解説していきたいと思います。
第73回の解説のリンク下に貼ってますので、第73回が見たい方はそちらからどうぞ

- 解説
- 午前6 シングルヘリカル CT について正しいのはどれか。
- 午前11 CT の線量指標として正しいのはどれか。2つ選べ。
- 午後6 X 線 CT で誤っているのはどれか。
- 午後7 マルチスライス CT 装置で、ビーム幅 40 mm、ピッチ係数(ピッチファクタ)0.8としたとき、ガントリ1回転当たりのテーブル移動距離[mm]はどれか。
- 午後9 X 線 CT において、特定の検出器素子の感度異常によって生じるのはどれか。
- 午後74 水の 1.1 倍の線減弱係数を持つ組織の Hounsfield 値(CT 値)はどれか。
- 午後89 X 線 CT で患者被ばく量低減のために有用なのはどれか。ただし、他の撮影条件は同じとする。
- 午後90 ヨード造影剤の総量 100 mL を2mL/秒の速度で静脈投与して造影 CT を行った場合に、検査を受けた患者に最も高頻度にみられるのはどれか。
解説
午前6 シングルヘリカル CT について正しいのはどれか。
1.コーン角を考慮した再構成法が必要である。
2.オーバースキャニングによって被ばくが増加しやすい。
3.360 度補間法は 180 度補間法よりも実効スライス厚を薄くできる。
4.ピッチ係数(ピッチファクタ)が大きいほどアーチファクトは出やすい。
5.エリアシングの影響は画像再構成間隔をスライス厚よりも大きくすることで
抑制できる。
- × マルチスライスCTならコーン角を考慮した再構成法が必要だが、シングルヘリカルCTは考慮する必要はない。マルチスライスでも8列以上のマルチスライスCTでは考慮する必要がある。
- × シングルヘリカルCTではオーバースキャニングが起きない。
- × 180度補間法の方が実効スライス厚を薄くできる。
- ○
- × 再構成間隔をスライス厚より小さくすることで抑制できる。スネアステップアーチファクトはエリアシングの影響を受けている。
午前11 CT の線量指標として正しいのはどれか。2つ選べ。
1.CTDI
2.DLP
3.DRL
4.EI
5.ESD
- ○
- ○
- × DRLは診断参考レベルのことでCTの線量指標ではない。
- × EIは一般撮影における線量指標。
- × ESDは一般撮影における入射表面線量のこと。
午後6 X 線 CT で誤っているのはどれか。
1.造影効果を高めるには管電圧を低くする。
2.短時間で撮影するにはヘリカルピッチを大きくする。
3.金属アーチファクトを抑制するには管電圧を高くする。
4.仮想的な非造影画像を作成するためには dual energy で撮影する。
5.1回転当たりの投影データ数を増加させるには X 線管の回転速度を高める。
- ○ 管電圧を低く設定するとコントラストがつくので造影効果を高められる。
- ○ ヘリカルピッチを大きくすると寝台が1秒間動く距離がふえるので短時間で撮影することができる。
- ○ 管電圧を高くすると金属アーチファクトは抑制される。
- ○ dual energy で撮影するとコントラストの違う画像が得られるので、仮想的な非造影画像が作成できる。
- × X線管の回転速度を上げても1回転当たりのデータ数は増えない。
午後7 マルチスライス CT 装置で、ビーム幅 40 mm、ピッチ係数(ピッチファクタ)0.8としたとき、ガントリ1回転当たりのテーブル移動距離[mm]はどれか。
1.16
2.24
3.32
4.40
5.50
下のピッチファクタの公式に当てはめて計算すれば解ける。
ピッチファクタ=一回転当たりの寝台の移動距離/X線のビーム幅
0.8=x/40
x=32(mm)
午後9 X 線 CT において、特定の検出器素子の感度異常によって生じるのはどれか。
1.部分体積効果
2.リングアーチファクト
3.モーションアーチファクト
4.ウィンドミルアーチファクト
5. ビームハードニングアーチファクト
1. × パーシャルボリューム(部分体積効果)はピクセル内のCT値が平均化される現象。
2. ○ リングアーチファクトは検出器の故障などが原因で起こる。
3. × モーションアーチファクトは患者の体動が原因で発生する。
4. × ウインドミルアーチファクト(風車状アーチファクト)はヘリカルスキャンにおける補間再構成が原因で、投影データと実データ間に矛盾が起こってアーチファクトが発生する。ピッチファクタが大きいほど顕著にみられる。肋骨などの高吸収体から発生する。
5. × ビームハードニングアーチファクトはX線のエネルギーピークが高いほうに移動し、CT値が低くなる現象。
午後74 水の 1.1 倍の線減弱係数を持つ組織の Hounsfield 値(CT 値)はどれか。
1.-100
2. -10
3. 1
4. 10
5. 100
CT値の公式を使うと求められる。
CT値(HU)=(μt-μw)/μw×1000
μt:組織の線減弱係数 μw:水の線減弱係数
水の線減弱係数を仮に1とすると、組織の線減弱係数は1.1になる。
あとは代入すると
CT値=0.1×1000
=100(HU)
午後89 X 線 CT で患者被ばく量低減のために有用なのはどれか。ただし、他の撮影条件は同じとする。
1.管電圧を上げる。
2.管電流を上げる。
3.自動露出機構を使用する。
4.ヘリカルピッチを下げる。
5.補償フィルタを使用しない。
- × 管電圧を上げると被ばくは増加する。
- × 管電流を上げると被ばくは増加する。
- ○ AECは被ばく低減に有効。
- × ヘリカルピッチを下げると曝射時間が延びるので被ばくは増加する。
- × 補償フィルタ(ボウタイフィルタ)で線量分布を調整している。補償フィルタを使用しないと被ばくは増加する。
1、2、4に関して被ばくは増加するが空間分解能は向上する。
午後90 ヨード造影剤の総量 100 mL を2mL/秒の速度で静脈投与して造影 CT を行った場合に、検査を受けた患者に最も高頻度にみられるのはどれか。
1.嘔 吐
2.熱 感
3.腎不全
4.じん麻疹
5.ショック
選択肢すべてヨード造影剤の副作用として考えられるが、最も高頻度に見られるのは熱感。ほぼ100%の人にみられます。熱感が起こる原因としてヨード造影剤は温度が低いと粘調度が増し、副作用が起きやすくなるので、保温器ですこし温めてあります。また、造影剤が血管内に入ると浸透圧の違いで血管内に細胞からの水分が移動します。その移動の際に熱が発生します。そのふたつの原因から熱感を感じます。この選択肢の中で最も起こりにくいのはショックです。
まとめ
今回は第71回診療放射線技師国家試験のCTの解説をしました。不明な点などあれば気軽にコメントしてください。今回はこの辺で終わりたいと思います。それでは!!
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