こんにちはNAGIです。
今回は、第71回診療放射線技師国家試験午後のMRIの解説をしてきたいと思います。先に70回の午前の解説を投稿してしまって申し訳ないです。。。(笑)
前回午前の分を解説していますので、午前が見たい方は下のからお願いします!!

では解説していきます!!
- 解説
- 午後10 MRA について正しいのはどれか。
- 午後11 MRI のパルスシーケンスで正しいのはどれか。
- 午後12 MRIにおいて、ある物質のT1、T2、T2*の値の関係として正しいのはどれか。
- 午後18 MRI 造影剤について正しいのはどれか。
- 午後19 膝の MRI 検査前の準備として適切なのはどれか。
- 午後20 3T MRI 装置における脂肪と水の共鳴周波数差(Hz)に最も近いのはどれか。
- 午後21 SE 法によって TR 400 ms、TE 10 ms で撮影された頭部 MR 像について正しいのはどれか。
- 午後22 拡散強調像について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 23 腰椎 MRI の矢状断像で呼吸性アーチファクトを軽減する方法として正しいのはどれか。
- 午後24 ファンクショナル MRI で正しいのはどれか。
解説
午後10 MRA について正しいのはどれか。
1.Dixon 法が用いられる。
2.PC 法では脂肪組織が血管描出の妨げとなる。
3.TOF 法では流速と流れの方向が測定できる。
4.非造影 MRA は造影 MRA に比べ乱流の影響を受けにくい。
5.造影 MRA では目的血管に合わせて撮影タイミングが決定される。
- Dixon法は第2のケミカルシフトに大きく関係している。この方法で水強調や脂肪強調の画像を作る。シーケンスはGRE法を使うが、MRAとは関係ない。
- PC法では流れのあるものしか描出されない。TOF法では脂肪組織は描出の妨げになる。一度画像を見比べると理解しやすいかもしれないです。
- PC法では流速と流れの方向が測定できる。PC法はVENC(速度エンコーディング)を設定することにより、流速と流れの方向が測定できる。しかし、VENCを設定するときにある程度流速を分かっていないといけない。PC法は平行の血管に、TOF法は垂直の血管の描出に適している。
- 造影MRAの方が血管内の描出能が高い。つまり、乱流などの影響も少ない。
- 正しい。造影MRAで一番大事なのが撮像タイミングです。そのためにいろいろな工夫がされている。
午後11 MRI のパルスシーケンスで正しいのはどれか。
1.高速 SE 法では T2* 効果が強調される。
2.SE 法の信号はマジックアングルで最大となる。
3.GRE 法でスポイラグラディエントを加えると T2* 強調像が得られる。
4.GRE 法の信号強度が最大となるフリップ角を Ernst(エルンスト)角という。
5.EPI 法での化学シフトアーチファクトは位相方向よりも周波数方向に強くみ
られる。
- T2* 効果が強調されるのはGRE法です。GRE法はT2強調の画像が取得できずに磁場の不均一の影響を合わせたT2*強調の画像となる。
- マジックアングルとは角度が約55°の時に腱板などが高信号になってしまうアーチファクトのこと。T1強調やプロトン密度像(TEの短いシーケンス)の時に生じる。双極子結合の関係で起きる。SE法の信号とは関係がない。
- GRE法でスポイラグラディエントを加えるとT1強調像が得られる。スポイルとは定常状態の残留横磁化を強制的に消去(スポイル)する方法。傾斜磁場やRFパルスのかけ方を工夫する。
- 正しい。大切なことなので忘れないようにしてください。
- EPI法の化学アーチファクトは位相方向に強く現れます。その他のシーケンスは周波数方向に強く現れる。
GRE法は種類がたくさんあって理解しにくいと思いますが、原理などの基本的なことは覚えたほうがいいです。
午後12 MRIにおいて、ある物質のT1、T2、T2*の値の関係として正しいのはどれか。
1.T1>T2>T2*
2.T1>T2*>T2
3.T2>T1>T2*
4.T2>T2*>T1
5.T2*>T2>T1
これは覚えるしかないですが、イメージで解けるかもしれません。T1とT2ならもちろんT1が長いです。これは語弊になるかもしれませんがイメージとして、T1はTR、T2はTEと覚えておくといいかもしれません。TRはTEより短くなることはないです。あくまでもイメージですので、過信しすぎないようにして下さい。例として脳脊髄液の場合、T1は3000ms、T2は300msです。
問題はT2とT2*の関係です。T2*はT2より常に短いです。原理を理解しようとすると難しいので、これだけ覚えておきましょう。
午後18 MRI 造影剤について正しいのはどれか。
1.致死的副作用はない。
2.細胞外液性造影剤は T2 緩和時間を短縮しない。
3.SPIO は T2 強調像もしくは T2* 強調像で評価する。
4.MRCP では消化管造影剤は陽性造影剤として用いられる。
5.Gd – EOB – DTPA は投与後 15 分前後から肝細胞に移行する。
- MRIの造影剤の副作用にショックなど致死的副作用もある。
- 細胞外液性造影剤はGd製剤のことを指します。MRIの造影剤はT1短縮、T2短縮効果両方ある。短縮効果の度合いで陽性、陰性が決まる。
- 正しい。SPIOは陰性造影剤なので、T2系の撮像を行う。SPIOだけが陰性造影剤。
- MRCPの際の消化管造影剤は消化管の信号を消すために使用する。つまり、陰性造影剤。塩化マンガン四水和物やクエン酸鉄アンモニウムの経口造影剤を使用する。
- Gd – EOB – DTPAは基本ダイナミック撮像で行う。なので、15分も間を空けない。
午後19 膝の MRI 検査前の準備として適切なのはどれか。
1.患者の両手は腹部で組んだ状態とする。
2.膝用コイルのケーブルが長い場合はループ状に配置する。
3.膝以外の場所に湿布薬を貼っている場合は剝がさずに検査する。
4.両側の大腿が直接接触しそうな場合は間にクッションをはさむ。
5.条件付き MRI 対応ペースメーカーを植え込んでいる場合は制限なく検査を
行ってもよい。
- 両手を組んでしまうとループ状になり、熱の逃げ場がなくなり、やけどの恐れがある。
- 1と同様でループ状にしてしまうと、ケーブル自体に熱をもってしまい、不具合など生じる場合があるので、ループ状にはしない。
- MRI検査室内に入ると撮影部位問わず磁場に触れるので、湿布は外しておく。
- 正しい。皮膚同士がくっつくとループ状になるので、クッションやタオルなどを挟む。
- 条件付きペースメーカーは名前の通り条件下で撮影が行えるので、制限はある。
難しそうに書いているが、MRIの安全性、危険性をしっかり理解していれば、解ける問題。
午後20 3T MRI 装置における脂肪と水の共鳴周波数差(Hz)に最も近いのはどれか。
ただし、1H の磁気回転比は 42.6 MHz・T-1 とする。
1. 36.5
2. 49.7
3.149
4.224
5.447
これは、公式と脂肪と水の周波数のずれを覚えていれば簡単に解ける。
ラーモアの方程式
ω0=γB0
ω0:ラーモア周波数(Hz)
γ:磁気回転比(MHz・T-1)
B0:磁場の強さ(T)
問題文から公式に当てはめると
ω0=42.6・3=127.8(MHz)となる。
脂肪と水は3.5ppmずれているので、
ω0=127.8・3.5=447.3(Hz)
となる。ppmが10-6ということも覚えておかないといけない。
午後21 SE 法によって TR 400 ms、TE 10 ms で撮影された頭部 MR 像について正しいのはどれか。
1.脂肪は低信号で描出される。
2.脳梗塞は高信号で描出される。
3.脳脊髄液は高信号で描出される。
4.脳下垂体後葉は高信号で描出される。
5.灰白質は白質よりも高信号で描出される。
TR 400 ms、TE 10 msはT1強調像のパラメータです。なので、問題文でT1強調像の正しい文を選べばいい。T2強調像なら大体だがTR 3000ms、TE 100 ms、プロトン密度強調像ならTR 3000ms、TE 10 msぐらいで覚えておくと大丈夫。
- T1強調像で脂肪は高信号で描出される。
- 脳梗塞で高信号になるのは拡散強調像(DWI)。
- 脳脊髄液はT2強調像で高信号に描出される。
- 正しい。脳下垂体後葉はT1強調像で高信号になります。
- T1強調像では白質の方が高信号に描出される。
午後22 拡散強調像について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.真の拡散係数が得られる。
2.脂肪抑制法が併用される。
3.組織の T2 値の影響を受ける。
4.急性期脳梗塞は低信号に描出される。
5.撮影には一般的に SE 法が用いられる。
- 見かけの拡散係数が得られる。ADCマップが得られる。
- 正しい。
- 正しい。拡散強調像のパラメータのbファクターを0にするとT2強調像になる。
- 急性期脳梗塞は高信号に描出される。
- 一般的にEPI法を用いる。
拡散強調像は水分子のブラウン運動を画像化したもので、脳梗塞や癌の診断などに用いる。
23 腰椎 MRI の矢状断像で呼吸性アーチファクトを軽減する方法として正しいのはどれか。
1.TE を長くする。
2.フリップ角を大きくする。
3.位相エンコード方向を頭尾方向にする。
4.腰椎にサチュレーションパルスを付加する。
5.MT(magnetization transfer)パルスを付加する。
呼吸性アーチファクトを軽減するには、位相エンコードの変更、サチュレーションパルスの付加、呼吸同期など行えばよい。選択肢でサチュレーションパルスを腰椎に付加すると書いているが、腰椎にサチュレーションパルスをかけると信号が消えて撮影できない。
- 関係ない
- 関係ない
- 正しい。
- 腰椎の信号が出ない。
- MTパルス(おそらくMTCパルスのこと)は3D-TOF法の時に使用して、脳実質の信号を落として、血管を見やすくするために付加する。
午後24 ファンクショナル MRI で正しいのはどれか。
1.造影剤を使用する。
2.データ取得に SE 法を用いる。
3.脳実質の動きを画像化している。
4.データ処理に最大値投影法を用いる。
5.運動野を描出するためには指先の運動を行う
-
- 造影剤は使用しない。
- データ取得には磁化率の変化に一番敏感なEPI法を用いる。
- 脳血流の動きを画像化している。
- データ処理にSPMを用いる。
- 正しい。
まとめ
今回は、第71回診療放射線技師国家試験の午後解説をしました。不明な点や気になることがあればコメントください。次は第70回のMRIの解説をあげるのでよかったら見て行ってください!今回はこの辺で終わりたいと思います。それでは!!
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