こんにちはNAGIです。
今回は、第70回診療放射線技師国家試験午後のMRIの解説をしてきたいと思います。
前回午前の分を解説していますので、午前が見たい方は下のからお願いします!!

解説
午後11 最も短い緩和時間はどれか。
1.筋肉の T1
2.肝臓の T1
3.肝臓の T2*
4.脳脊髄液の T1
5.脳脊髄液の T2
この問題はT1、T2、T2*の緩和時間の順番を覚えておかないといけない。臓器が違うので惑わされやすいので注意が必要。T1、T2、T2*の中ではT2*が短いのですぐに答えを導き出せる。
午後12 MRI で SAR を低くする方法はどれか。2つ選べ。
1.TE を長くする。
2.TR を短くする。
3.スライス数を少なくする。
4.フリップ角を大きくする。
5.静磁場強度の低い装置を使用する。
均一な球体組織の平均SARの公式
SAR∝σr2B02α2D
∝:比例という意味
σ:電気伝導率
r:半径
B0:静磁場強度
α:フリップ角
D:デューティーサイクル
デューティーサイクルはスライス厚やTRにも関係します。SARの問題はSARの単位(W/kg)。TRが短くなるとRFパルスの間隔が短くなるので、SARは大きくなる。
午後15 MRI の IR 法で正しいのはどれか。
1.IR パルスとして 90 度パルスを使用する。
2.FLAIR 法は水の信号を抑制する目的で使用する。
3.STIR 法は脂肪信号を特異的に抑制することが可能である。
4.信号を抑制したい組織の縦磁化がゼロになる時間に TR を設定する。
5.組織間の共鳴周波数の差を利用して特定組織の信号を抑制する手法である。
- IRパルスは180°パルスを使用する。
- 正しい。
- STIRは脂肪を特異的には抑制できない。特異的に脂肪抑制するのは共鳴周波数を利用するCHESS法。
- 信号を抑制したい組織の縦磁化がゼロになる時間に TIを設定する。
- この脂肪抑制がCHESS法。
STIR法とCHESS法
STIR法は磁化率の影響をあまり受けないが、SN比が悪い。脂肪よく似た組織も抑制される。
CHESS法はSN比が良いが、磁化率の影響を受ける。脂肪だけを抑制できる。
午後16 TOF 法による MRA で正しいのはどれか。
1.血流の速度が測定できる。
2.基本となるシーケンスは GRE 法である。
3.撮影断面に対して平行に走行する血管の描出に優れている。
4.血流によるスピンの位相シフト効果を利用して血管を描出する。
5.MT (magnetization transfer)パルスを用いるのは周囲脂肪組織の信号を抑
制するためである。
- 流速が測定できるのはPC法。VENCを設定するから。
- 正しい。
- TOF法は断面に対して垂直に走行する血管の描出に優れている。PC法は平行に走行する血管に優れている。
- TOF法は流入効果を利用している。PC法は位相シフトを利用している。
- MTパルスは脳実質の信号を抑制する。
午後18 MRI 造影剤について正しいのはどれか。つ選べ。
1.細胞外液性造影剤の血中半減期は約 24 時間である。
2.腎性全身性線維症は Gd 製剤の重篤な副作用である。
3.経口消化管陰性造影剤である Mn 製剤は腎臓から排泄される。
4.肝特異性造影剤 Gd – EOB – DTPA は細胞外液腔には分布しない。
5.超常磁性酸化鉄(SPIO)製剤は腎機能障害があっても使用できる。
- 細胞外液性造影剤は24時間で90%以上排泄される。
- 正しい。
- 経口造影剤は消化管から排泄される。
- Gd – EOB – DTPAは細胞性外液に分布する。
- 正しい。SPIOは腎障害があっても使用できる。ヘモクロマトーシス等鉄過剰症の患者や出血している患者には使えない。
午後19 脊椎 MRI について正しいのはどれか。
1.横断像は z 軸に垂直に撮影する。
2.脳脊髄液は T2 強調像で低信号を呈する。
3.脊椎のレベルは冠状断像で決定しやすい。
4.MR ミエログラフィは脊髄腔に造影剤を注入後撮影する。
5.腹側臓器からのアーチファクト低減には前飽和パルスが有用である。
- z軸は基本スライス方向なので、横断像は平行に撮影する。ⅹ軸、y軸は部位によって入れ替わったりする。
- 脳脊髄液はT2強調像では高信号になる。
- 脊椎のレベルは矢状断で決定しやすい、脊椎は湾曲しているので冠状断では見にくい。
- ミエログラフィは造影剤を使用しない。MRCPと同じヘビーT2を使用して撮影します。
- 正しい。呼吸によるアーチファクトを低減するためにプリサチュレーション(前飽和)パルスを使用する。
午後20 心筋評価のための心臓 MRI で有用でないのはどれか。
1.シネ撮影
2.タギング
3.遅延造影
4.拡散強調像
5.脂肪抑制 T2 強調像
この中で1番関係ないのは拡散強調像です。シネ撮影、タギング、遅延撮影などは心筋評価のために必要。脂肪抑制T2強調像は炎症など見るときに使用する。名前ぐらい覚えておくといいかも。
まとめ
今回は第70回診療放射線技師国家試験の午後MRIの解説をしました。不明な点などあれば気軽にコメントしてください。今回はこの辺で終わりたいと思います。それでは!!
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