こんにちはNAGIです。
今回は、第67回診療放射線技師国家試験午前のMRIの解説をしてきたいと思います。
- 解説
- 午前12 MRI 装置で超伝導コイルの最も近くに存在するのはどれか。
- 午前13 MRI 装置について正しいのはどれか。 2 つ選べ。
- 午前15 MRI で数値を大きくすると撮影時間が短くなるのはどれか。
- 午前16 腰椎 MRI の矢状断像で呼吸性アーチファクトを軽減する方法として正しいのはどれか。
- 午前17 MRI のガドリニウム造影剤(Gd – DTPA)で正しいのはどれか。 2 つ選べ。
- 午前18 MRI のアーチファクトとその抑制方法の組合せで正しいのはどれか。 2 つ選べ。
- 午前83 頭部 MRI を撮影するために患者を検査室に入室させ寝台に乗せたところで、患者が胸部にカイロを装着していることに気が付いた。診療放射線技師の対応として適切なのはどれか。
解説
午前12 MRI 装置で超伝導コイルの最も近くに存在するのはどれか。
1.シムコイル
2.高周波送信器
3.傾斜磁場コイル
4.冷凍機用圧縮機
5.クライオスタット
MRI装置は外側からクライオスタット→超電導コイル(静磁場コイル)→シムコイル→傾斜磁場コイル→RFコイルの順になってます。
MRI装置の簡単な断面図を載せておくので参考にしてみてください。
MRI装置断面図
超電導コイルは超電導を発生させるコイルで静磁場コイルともいう。クライオスタットの中に液体ヘリウムが入っている。超電導コイルに大電流を流して超電導を発生させる。その際に熱が発生するので、それを冷却させるためにクライオスタットが密着している。超電導コイルとシムコイルは少し距離が空いているので、超電導コイルに一番近いのはクライオスタットです。
午前13 MRI 装置について正しいのはどれか。 2 つ選べ。
1.RF パルスは横磁化を減少させる。
2.T1 は磁場強度が強いほど大きくなる。
3.スライス位置は受信バンド幅で決まる。
4.RF コイルは大電流によって強磁場を作る。
5.スライス厚は傾斜磁場勾配を強くすると薄くなる。
- 誤り。RFパルスは縦磁化を横磁化にするものなので、横磁化を増加させる。
- 正しい。磁場強度が大きくなると、縦磁化の回復が遅くなる。つまりT1は大きくなる。
- 誤り。スライス位置はスライス選択傾斜磁場で決定する。スライス厚は受信バンド幅で設定できる。
- 誤り。これは静磁場の説明。
- 正しい。スライス厚を変えれるのは、この方法と受信バンド幅の2つ。
72回の午前10とほぼ同じ問題。過去問を見ていれば解ける問題もある。
午前15 MRI で数値を大きくすると撮影時間が短くなるのはどれか。
1.TR
2.TE
3.エコートレイン数
4.位相エンコード数
5.周波数エンコード数
撮像時間の公式は
撮像時間=(TR×位相マトリクス数×加算回数)/(エコートレイン数×パラレルイメージングファクタ)
公式から、エコートレイン数を大きくすると撮像時間は短くなる。エコートレイン数を大きくするとSNRは低下する。
午前16 腰椎 MRI の矢状断像で呼吸性アーチファクトを軽減する方法として正しいのはどれか。
1.TE を長くする。
2.フリップ角を大きくする。
3.周波数エンコード方向を頭尾方向にする。
4.MT〈magnetization transfer〉パルスを付加する。
5.腰椎より腹側にサチュレーションパルスを付加する。
- 誤り。TEはエコー収集時間なので、TEが長いほどアーチファクトは大きくなる。
- 誤り。フリップ角は関係がない。フリップ角が関係あるのはSNRです。
- 誤り。呼吸性のアーチファクトは位相エンコード方向に現れるので、周波数エンコード方向を頭尾方向にすると、位相エンコードは前後方向になるので、腹壁のアーチファクトが大きくなる。位相エンコード方向を頭尾方向にすると、アーチファクトは軽減できる。
- 誤り。MTパルスはTOF法などで周囲の信号を消すときに用いるので関係がない。
- 正しい。サチュレーションパルス(前飽和パルス)を腹壁に付加すると呼吸性のアーチファクトは低減できる。
午前17 MRI のガドリニウム造影剤(Gd – DTPA)で正しいのはどれか。 2 つ選べ。
1.組織特異性である。
2.細胞内液に分布する。
3.造影後の撮影には T1 強調像を用いる。
4.副作用の発生率はヨード造影剤より高い。
5.高濃度では磁化率効果により信号が低下する。
- 誤り。代表的な組織特異性の造影剤は肝特異性のSPIOやGd-EOB-DTPAです。Gd-EOB-DTPAとGd-DTPAは別物なので間違わないように注意が必要です。肝特異性の造影剤はSPIOとEOBと覚えておいてもいいかもしれないですね。
- 誤り。細胞外液に分布します。
- 正しい。Gd 造影剤はGdの付近のプロトンにT1短縮効果を付与する効果があるので、造影剤はT1強調像で高信号になります。なので、造影後はT1強調像を撮影します。T2強調像や拡散強調像(DWI)は造影前、造影後では変化はありません。
- 誤り。副作用の発生率はヨード造影剤の方が高い。
- 正しい。高濃度では低信号になる。逆に低濃度では高信号になる。外部磁場に影響するので、直線関係ではない。
午前18 MRI のアーチファクトとその抑制方法の組合せで正しいのはどれか。 2 つ選べ。
1.体 動 収集時間の短縮
2.磁化率 TE の短縮
3.折り返し FOV の縮小
4.ケミカルシフト 受信バンド幅の縮小
5.トランケーション マトリクス数の減少
- 正しい。収集時間と選択肢にありますがこれはTEのことを指しています。体動はモーションアーチファクトになるので、TEを短くすると、アーチファクトは軽減される。
- 正しい。磁化率アーチファクトもTEを短くすると軽減される。わかりにくいと思ったので実際にファントムを使って撮影してみました。ファントムに小銭を貼り付け、TE以外はすべて同じでTEだけ9msと40msで撮影しました。
TE 9ms TE 40ms
見てわかる通りTEが短いほうが磁化率の影響は少ないです。
- 誤り。折り返しアーチファクトはFOVを拡大することで抑制できます。
- 誤り。ケミカルシフトアーチファクトは受信バンド幅を拡大することで抑制できます。受信バンド幅を拡大するとSNRは低下します。
- 誤り。トランスケーションアーチファクトはマトリクス数を増加させると抑制できます。マトリクス数も増加させるとSNRは低下します。
それぞれのアーチファクトの抑制方法はしっかりと理解しておいた方がいいと思います。
午前83 頭部 MRI を撮影するために患者を検査室に入室させ寝台に乗せたところで、患者が胸部にカイロを装着していることに気が付いた。診療放射線技師の対応として適切なのはどれか。
1.体に付着しており移動する恐れがないと判断していつも通りの撮影を行う。
2.患者へは特に説明をせず検査を進める。
3.MR 検査室の撮影スタッフとの情報共有の必要はない。
4.検査を依頼した医師に対して責任を追求する。
5.インシデント報告を行う。
- 誤り。MRI室内にはカイロは持ち込めません。発熱してやけどの可能性もありますし、万が一袋が破けて中の砂鉄がガントリにくっつくと画質にも影響するので、MRI室内に入るときはどの部位でも外します。
- 誤り。患者には入室前に事前に説明しておく必要がある。
- 誤り。違うスタッフが同じミスをしないように情報共有する必要がある。
- 誤り。インシデントは誰がミスをしたのかを追求するのではなく、次に同じミスをしないようにするのが大切。
- 正しい。
まとめ
今回は第67回診療放射線技師国家試験の午前MRIの解説をしました。不明な点などあれば気軽にコメントしてください。今回はこの辺で終わりたいと思います。それでは!!
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