¨こんにちはNAGIです。
今回は、第71回診療放射線技師国家試験のMRIの解説をしてきたいと思います。
解説
午前15 MRI の高速 SE 法において撮影時間が短縮するのはどれか。
1.エコー時間の延長
2.視野サイズの拡大
3.繰り返し時間の延長
4.再収束パルス数の増加
5.位相エンコード数の増加
高速SE法(FSE法)の撮像時間=TR×位相エンコード数×加算回数(NSA)/エコートレイン数(ETL)で求めることができる。問題文ある中でETL=再収束パルス(リフォーカスパルス)のことなので、公式に当てはめると4が正解になる。FSE法の特徴はこのETLをうまく利用して撮像している。しかし、ETLを上げすぎると分解能が悪くなる。再収束パルスは180°パルスのことで、SE法なら1回のTRで1回しか使わないが、FSE法は何度もかけることができる。それがETLとなる。
午前16 脳の TOF(time-of-flight)MRA で脳実質の信号を抑制するのに併用されるのは どれか。
1. IR(inversion recovery)パルス
2.DE(driven equilibrium)パルス
3.MT(magnetization transfer)パルス
4.MPG(motion probing gradient)パルス
5.CHESS(chemical shift selective)パルス
- IRパルスはIR法の際に用いる。STIR法やFLAIR法などに使用する。
- DEパルスはFSE法の最後に印加する180°パルスと-90°パルスのことを指す。この撮像法をDRIVE法という。T2の長い組織の信号を保ったままTRを短くできる。内耳などに使われる。欠点として軟部組織のコントラストが低下する。
- 正しい。TOF法で使用する。
- MPGパルスは拡散強調像(DWI)の際に用いる。MPGパルスでb値を調節する。
- CHESSパルスは脂肪抑制法の際に用いられる。TRごとにパルスを印加するので撮像時間が伸びてしまう。
午前17 MRI において SAR の増大に関係するのはどれか。
1.エコー時間
2.視野サイズ
3.スライス数
4.スライス選択傾斜磁場
5.位相エンコード傾斜磁場
均一な球体組織の平均SARの公式
SAR∝σr2B02α2D
∝:比例という意味
σ:電気伝導率
r:半径
B0:静磁場強度
α:フリップ角
D:デューティーサイクル
デューティーサイクルはスライス厚やTRにも関係します。SARの問題はSARの単位(W/kg)、静磁場強度とフリップ角の2乗に比例してTRには反比例するぐらい覚えておくと大丈夫だと思います。
午前18 脳出血の MR 像で T1 強調像と T2 強調像の両方で高信号となるのはどれか。
1.ヘモジデリン
2.オキシヘモグロビン
3.デオキシヘモグロビン
4.赤血球内メトヘモグロビン
5.赤血球外メトヘモグロビン
- ヘモジデリンは慢性期の状態でT1、T2ともに低信号です。
- オキシヘモグロビンは超急性期の状態でT1は軽度低信号、T2は軽度高信号です。
- デオキシヘモグロビンは急性期の状態でT1は軽度低信号、T2は低信号です。
- 赤血球内メトヘモグロビンは亜急性期の状態でT1は高信号、T2は低信号です。
- 赤血球外メトヘモグロビンも亜急性期の状態でT1、T2ともに高信号です。
つまりこれが正解。
分かりにくいので表にまとめる。
経時的変化 | ヘモグロビンの変化 | 経過時間 | T1強調像 | T2強調像 |
超急性期 | オキシヘモグロビン | 24時間以内 | 軽度低信号 | 低信号 |
急性期 | デオキシヘモグロビン | 1~3日 | 軽度低信号 | 軽度高信号 |
亜急性期 | 赤血球内メトヘモグロビン | 3~7日 | 軽度低信号 | 低信号 |
亜急性期 | 赤血球外メトヘモグロビン | 7~14日 | 高信号 | 高信号 |
慢性期 | ヘモジデリン | 14日以降 | 軽度低信号 | 低信号 |
午前19 MRI のトランケーションアーチファクトで正しいのはどれか。
1.スライス間隔が狭い場合に発生しやすい。
2.収集マトリックスを大きくすると軽減する。
3.静磁場の局所不均一性による位相エラーで発生する。
4.同じボクセル内に水と脂肪が同量存在する場合に大きくなる。
5.撮影領域の範囲外にあるものが画像領域に入り込むことによって生じる。
- この内容はクロストークアーチファクトの内容です。クロストークアーチファクトはインターリーブ法など用いて軽減できる。
- 正しい。マトリクス数を大きくすると軽減できる。代表的な抑制する方法です。別名打ち切りアーチファクトなどとも呼ぶ。
- おそらく磁化率アーチファクトのこと。磁化率アーチファクトは、頭蓋底や肺、腹部などの空気を含んでいるところで起きやすい。抑制方法は、リフォーカスパルス(再収束パルス)が入ったシーケンス(SE法など)に変える。TEを短くする。スライス厚を薄くする。ピクセルサイズを小さくするなどある。
- ケミカルシフト(化学)アーチファクトのことです。共鳴周波数の違いで脂肪が水より3.5ppmずれていることで生じる。国試で出題されるアーチファクトで唯一周波数方向にアーチファクトが現れる。しかし、EPI法では位相方向にアーチファクトが現れるので注意が必要。何ピクセルずれているか計算で算出することができる。
Px=(3.5×10⁻⁶ γB)/(BW/Nx)
Px:ピクセルサイズ(ピクセル)
γ:核磁気回転比(MHz/T)
B:静磁場強度(T)
BW:受信バンド幅
Nx:周波数エンコード数
抑制方法は受信バンド幅を広げる。
GRE法は第2のケミカルシフトが存在する。in-phaseとout-of-phase(opposed-phase)に分かれ、脂肪の検出に適している。
- 折り返し(エリアシング)アーチファクトのことです。抑制方法としてはオーバーサンプリングを行う、位相エンコード方向を変える、プリサチュレーションパルス(前飽和パルス)を付加する。
まとめ
71回はMRIの問題が多いので、午前と午後に分けたいと思います。
次回は午後の解説を出したいと思います。間違いなどがあればコメントお願いします!
今回はこの辺で終わりたいと思います。それでは!!
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