こんにちはNAGIです。
今回から不定期で放射線技師の国家試験の過去問の解説をしていこうと思います。最初はMRIの問題を解説していこうと思います。基本的に1年分ずつになると思います。
解説
第72回
午前10
MRI 装置について正しいのはどれか。
1.RF パルスは横磁化を減少させる。
2.スライス位置は受信バンド幅で決まる。
3.RF コイルは大電流によって強磁場を作る。
4.T1 緩和時間は静磁場強度が強いほど短縮する。
5.スライス厚は傾斜磁場勾配を強くすると薄く設定できる。
- RFパルスは横磁化を増加させる。RFパルスはSE法では90°パルスと180°パルスにあたる。横軸に倒すパルスなので縦磁化を増加させる。
- スライス位置はスライス選択傾斜磁場で決まる。位置情報は傾斜磁場で得ている。軸で言うとz軸にあたる。スライス厚は受信バンド幅で設定できる。受信バンド幅は感度を持っている幅=撮像範囲に影響すると思っておけば分かりやすいと思う。
- 大電流で強磁場を作るのは静磁場。
- T1緩和時間は静磁場強度が強いほど延長する。T1緩和時間は縦緩和(スピン-格子緩和)のことで一度倒された磁化成分が元の63%まで回復するまでの時間。
- 正しい。スライス厚を変えれるのは、この方法と受信バンド幅の2つ覚えておけば大丈夫。
正解の文章はよく見るパターンなので、覚えておいてもいいかも。
午前15
FSE 法によって撮影された T2 強調像について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.骨皮質は高信号である。
2.脂肪髄は高信号である。
3.関節の靱帯は高信号である。
4.眼球の硝子体は高信号である。
5.脳の灰白質は白質よりも低信号である。
- 骨皮質はT1強調画像、T2強調画像ともに低信号。
- 正しい。FSE法はSE法に比べて脂肪の信号が落ちにくい。J-カップリングの影響で脂肪が高信号に見える。しかし、ETLの程度によって異なるので、すぐに答えず、次の選択肢を見た方がいい。
- 関節靱帯はT1強調画像、T2強調画像ともに低信号。
- 硝子体はT2強調画像で高信号。
- 灰白質は白質より高信号。これはSE法でも同じ。
基本的なことを覚えていれば消去法で、導き出せる。
午前24
Gd – EOB – DTPA で正しいのはどれか。
1.経口投与する。
2.鉄を含有する。
3.尿中には排泄されない。
4.高齢者への投与は禁忌である。
5.肝細胞に特異的に取り込まれる。
- Gd製剤はすべて静注。経口投与は塩化マンガン四水和物とクエン酸鉄アンモニウムだけ。
- 鉄は含有していない。鉄が含有している造影剤はSPIOとクエン酸鉄アンモニウム。
- Gd製剤は尿中排泄される。
- 高齢者は関係ない。
- 正しい。SPIOはクッパー細胞に取り込まれる。
しっかり造影剤の区別をして覚えておかないと、正解までたどり着けない。
午後15
MRI に用いる造影剤について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.Gd 造影剤は T1 緩和時間を短縮する。
2.MRCP では造影剤を用いることはない。
3.Gd 造影剤は T2 緩和時間に影響を与えない。
4.Gd – EOB – DTPA は肝腫瘍の診断に用いる。
5.Gd 造影剤による重篤な副作用は知られていない。
- 正しい。MRIで使用する造影剤はT1短縮効果とT2短縮効果がある。T1短縮効果(陽性造影効果)の造影剤の時はT1強調画像を撮影する。造影剤は高信号。T2短縮効果(陰性造影効果)の造影剤の時はT2強調画像を撮影する。造影剤は低信号。SPIOが陰性造影剤で、そのほかは陽性造影剤。
- MRCPでは造影剤を使わなくても検査はできるが、消化管の信号が邪魔になるので基本造影剤を使用する。使用する造影剤は経口投与の塩化マンガン四水和物かクエン酸鉄アンモニウムを使用する。
- 1に記載。
- Gd – EOB – DTPAは肝細胞に特異的に取り込まれるので、肝腫瘍の診断に用いる。
- Gd造影剤でも重篤な副作用がある。Gd造影剤の副作用として腎性全身性繊維症(NSF)がある。
午後21
MRI の撮影法で BOLD(blood oxygenation level dependent)効果に最も鋭敏なの はどれか。
1.EPI
2.FLAIR
3.FSE
4.SE
5.STIR
BOLD法は基本的にEPI法を用いる。BOLD法はfMRIを撮像する方法。fMRIは磁化率に敏感なシーケンスが必要。fMRIは神経刺激によって活化された部位への局所脳血流の変化に伴う信号の変化を解析することで、間接的に脳活動を画像化すること。
午後24 脳のファンクショナル MRI で正しいのはどれか。
1.造影剤を使用する。
2.データ取得に FSE 法を用いる。
3.データ処理に最大値投影法を用いる。
4.運動野を描出するために光刺激を行う。
5.神経の活動に伴う血流変化を画像化している。
- 造影剤は使用しない。
- データ取得にはEPI法を用いる。FSE法は1番磁化率の変化に影響されないシーケンスなので不向き。
- データ処理はSPMを用いるのが主流。
- 運動野を描出するためには運動刺激(指先を動かすなど)を行う。光刺激は基本行わない。
- 正しい。
まとめ
今回は72回のMRIの問題を解説しました。ここが分かりにくいだったり、間違ってるなどありましたら、気軽にコメントしてください!!次は71回の分をしようと思ってます。今回はこの辺で終わりたいと思います。それでは!!
Twitterもやってるので良ければフォローお願いします!!

コメント